前回のエッセイから、またしても半年たってしまいました。3世代目がデビューしようというときになると、「初物」としてエッセイを各機会が少なくなって来るのは至極もっともではありますが、こうしてまだ機会があるというのも、うれしいことでもあり、ちょっと歯がゆいところでもあります。
さて、地方競馬のどの地区においても、と言いますか、どんな国のどんな規模の競馬場であっても、ホースマンたちの最大の目標はダービーなのではないかと思います。「ダービーからダービーまで」と言われるように、2歳3歳戦線の根幹に位置づけられ、一生に一度しか挑むことが出来ないレースであることは、規模や馬のレベルに関係なく、至高の存在となるべきレースなのではないかと思います。さらに今年は「ダービーウィーク」として各地区のダービーが体系化され、頂点にジャパンダートダービーを配することになりました。その節目の年に、メイセイオペラ産駒のジョイーレが、兵庫ダービーに挑戦できるということは、この上なくうれしいことだと思います。メイセイオペラ産駒にとっても、初めてのダービーとなります。
しかも今回は、ただ出走するというだけでなく、確実に1番人気を争うような有力馬としての出走です。ジョイーレのこれまでの頑張りのみならず、ここまで育て上げた関係者の皆さんのたゆまぬ努力にも、大いに敬意を表すべきではないかと思います。もちろん、結果がどのように出ても、ダービーに出る、というそのことだけで、すばらしいといえるのが、ダービーというレースの価値の重さなのではないでしょうか。
もちろん、メイセイオペラという種牡馬の、生産界における行く末にとっては、例えダービーであっても、地方競馬の重賞の1つと捉えられてしまえば、何か具体的な影響を及ぼすものではないのかもしれません。今回はメイセイオペラの子供の初重賞制覇もかかっていますが、それに関しても、ダートグレードレースならともかく、同じことが言えてしまいそうです。むしろ、今回は、ダービーウィークという、地方競馬としては異例とも言える注目の集まるシリーズにおいて、「あのメイセイオペラの子供も頑張ってるんだ」という情報発信が出来れば、父親がかつて果たしたような、地方競馬に人を呼べるコンテンツの1つとして、捉えられるようになるのではないかという期待のほうが大きいです。
ジョイーレ自身にとっても、勝てばGTへのキップが約束されますし、これまでのような「無冠の帝王」のままでは、他地区のダートグレードに遠征するにしても、重賞勝ち馬との比較では不利になってしまうかもしれません。そういう意味で、今後への分水嶺となる一戦となるでしょう。
思えば、私は2年前、「メイセイオペラ産駒 デビューによせて」と題した文章で、「少なくとも地方競馬の各地区で5本の指に入る程度の活躍馬が出てほしいところ」という期待を寄せている旨を書きました。そこから考えると、メイセイオペラの子供たちの初年度の戦いは、苦しいものだったといえるでしょう。各地区五本の指どころか、重賞での入着も数えるほどしかなく、オープンクラスの勝ち鞍ですらも少ないものでした。思うに、初年度は若さと受胎率に期待して、多くの繁殖牝馬が集まりましたが、高齢の牝馬も多かったことから受胎率もさほどではなく、実績を残せずにこの年を最後に供用が停止された繁殖牝馬も多く、母馬の質という意味ではなかなか難しかったようにも思えます。そんなことから、中央未勝利との交流戦に組まれるレベルになる、2勝目以降が遠いというケースが多く見られたように思います。もちろん、晩成のメイセイオペラの仔に、3歳戦線での活躍を望んだのが酷だったともいえますが、そんな中でも、カネトシスマイルが中央で1勝を挙げ、ヨシノカチボシは500万クラスで入着を繰り返し、ボナンザーオペラが岩手のオープン特別勝ちを果たし、海外では韓国の코즈모배스틸(コスモバスティーユ)は4勝を挙げました。
翻って、ジョイーレも筆頭に活躍する2世代目は、単純比較は難しいとはいえ、繁殖牝馬のレベルの差以上に、活躍できているように思います。岩手のジュリアや南関東のシェアオペラなど、まだまだ底を見せていない仔たちが控えているのが、楽しみです。このことは、決してメイセイオペラが種牡馬として才能がないわけではなく、母親しだいではいい仔を出す可能性を秘めているということを、示唆しているように思います。
各地で始まりつつある2004年生まれの馬たち、すなわち第3世代では、オペラダンディとカネショウエリートが好時計で能力検査をパスし、まもなくデビューを迎えそうです。そして、近年は種付け相手は一桁と低迷していますが、下の世代ほど、繁殖牝馬の質の底上げがなされているように思えるのが、心強いところとして挙げられます。おそらく、ダービーウィークは、来年以降も地方競馬を盛り上げるイベントとして、ますますの重要性を持ってくるように思います。第3世代の、そしてそれ以降の世代のオペラっ仔たちにも、ダービーウィークで主力として人気を集めるくらいの、そしてジョイーレ以上の活躍をしてくれることを、願っています。